賢さん通信8号

田中秀清店長との出会い。缶ビール片手に・・・

こんにちは!株式会社琉球補聴器、代表取締役の森山賢(けん)です。賢さん通信第8号をお送りいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、前回は、大学卒業後に入社した企業がブラックだったこと、ただ、そこで営業など学ばせてもらい、感謝していますといったことを書かせていただきました。

今回は、転職をして入社した2社目のことです。私は、父の紹介で補聴器メーカーの子会社、補聴器の販売等をしている関東リオンという会社に転職しました。研修を終えて配属されたのは、埼玉県所沢市にある販売店、リオネットセンター所沢。前職が超絶ブラックだった私にとって、このリオネットセンター所沢は、ホワイトの中のホワイト。職場があまりにも平和すぎて、逆に違和感を覚えたほどです。

営業という面でも、前職とは違いました。前職は電話一本。見ず知らずの人にいきなり電話を掛けるところから始まるのが、こちらでは、お困り事があるお客様の方からお店に来てくださいます。私には、前職時代に身に付けた営業スキルがありました。もちろん、押し売りはしません。ただ、必要とされる方にはどんどん販売。ぽんぽんぽんぽんと商談がまとまっていきました。同じ職場の人たちからは「森山さんすごい!」と言われ、結果、私の鼻はぐんぐんぐんぐん伸びていきました・・・。

ただ、一つ気になっていたことがありました。はたして私が販売している人たちは、私から買って幸せなのだろうか?と。また、当時、私より一つ年下の田中秀清店長という方がいたのですが、田中店長は、お客様からいつも頼られ、また紹介も多い。片や私は、頼られることは少なく、紹介よりもご新規様が多い。田中店長を見ていて、自分のやり方が正しいのか、気になり始めていました。

そんなときです。田中店長が、私の伸びた鼻をポキッと折るように言いました。「森山さんの売り方にはハートがありません。私がお客様だったら、森山さんからは買いません」と・・・。

改めて書きますが、田中店長は年下です。それにも関わらず、直接、苦言を呈してくれました。ただ、私も当時は30歳と若く、会社に貢献しているのは自分の方だ!という自負心もありました。また、痛いところを突かれたという悔しさもあって反発してしまいました。「田中店長が言っていることもわかるけど、私の方が売っているし、田中店長は私から見たら、優しいとも言えるけど、ただのいい人ですよ。店長としての厳しさが欠落しているんじゃないですか?」と。

人情派の田中店長と、営業派の私。言い合いは頻繁にあり、ときにお店が18時閉店後、23時過ぎまでやっていることもありました。そして、こんなこともよくありました。言い合いをしながら1時間ほど経つと、田中店長が「ちょっと待っててください。トイレに行って来ます」と言ってその場を離れるのですが、戻ってきたその手にはコンビニの袋。中には缶ビールが4本。「じゃあ、さっきの続きをやりましょう」と言って、プシュッと開けて渡してくるのです。そして、缶ビール片手に侃々諤々(かんかんがくがく)。1時間後、今度は私が「トイレに行ってきます」と言ってコンビニへ。

お互い補聴器の仕事に対して本気でした。熱い想いを持っていました。そして、お互いにリスペクトもしていたので、言い合いながらも、仲違いすることは決してありませんでした。

私は、この会社を4年ほどで辞めることになってしまうのですが、田中店長からは、補聴器の職業に携わる者としての在り方、ありきたりな言い方ですが、難聴者の方の立場に立つことの大切さを、学ばせてもらいました。田中店長には、今でも本当に感謝しています。私にとって、田中店長は補聴器業界での師匠です。

■追伸:現在、その田中秀清店長は、千葉県館山市で自ら補聴器の会社を興し、また、奥様の姓、和田さんに変更され、リオネットセンター南房総で店長をされております。