賢さん通信20号
その名のとおり「幸腹満福」
こんにちは!株式会社琉球補聴器、代表取締役の森山賢(けん)です。賢さん通信第20号をお送りいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、先日、家族で初めての沖釣り(国頭村)に行った帰り、うるま市石川にあります居酒屋さんに夕食を食べに行ったのですが、そこでいたく感動してしまいました。
知り合いの方から紹介されたその居酒屋さんの名は、幸腹満福(こうふくまんぷく)。国頭村の漁港から車を走らせ、夜8時頃に到着。駐車場から歩いて向かうと、お店の前に一人の男の子がちょこんと座っていました。見てすぐわかるダウン症の子。どうしてここに?と思いつつ、お店に入り、カウンター席に7人横並びで座りました。
間もなくして、がらがらがらっとお店の扉が開き入ってきたのは、先程の男の子です。そして、私たちに向かって「いらっしゃい!」と声を掛けてきたのです。驚きつつ、すぐにわかりました。この子はここのお店の子だったのです。
幸腹満福は、ご夫婦とその子で営まれているお店です。大将のコーチンさん。奥様のすずかさん。そして、ゆ~ず~という男の子。店内に彼の紹介文がありましたが看板店長で現在18歳。私の中でダウン症の子はシャイという先入観があったのですが、ゆ~ず~は真逆。こんなに明るいダウン症の子っているの??と驚くほどの笑顔。そして、大将と奥様がゆ~ず~に指示を出します。「おしぼり出して!」「オーダー取って!」と。ゆ~ず~は、立派なスタッフとして働いていたのです。
ただ、ここからが特別と言いますか、ゆ~ず~ワールドに引き込まれていきます。まず、オーダーを取りに来てくれるのですが、正しく取ることができません。にこにこ笑顔で聞きに来てくれて、妻が注文をするのですが、正確に書くことができず、妻が一生懸命に何度も言い直します。ゆ~ず~はマイペースに、にこにこしながら「それでそれで?」「もう一回言って」とやり取りを繰り返します。焼き場にいる奥様から「ごめんねー、森山さん!あとでちゃんとしたオーダー取るから!」と言われ、奥様に交代したのですが、普通であれば、ないがしろにされたと、いじけてしまいそうですが、そんな感じは一切無く、ゆ~ず~は、ずっと笑顔でした。
そこまで広くはない店内、ゆ~ず~がずっと視界に入っていたのですが、とても感動してしまいました。ゆ~ず~は、このお店の中で、とっても存在感があったのです。一昔前であれば、ダウン症の子や障がいがある子は、家族から隠されてしまう傾向にあったと思います。それが、ここでは隠すどころか、看板店長として前面に出て、また、本人がとってもイキイキとしていたのです。
お腹が落ち着いてきた頃、ゆ~ず~が奥からウクレレを持ってきては弾き始め、それに飽きたら、ハーモニカを演奏し始めと、いろんなことをしてくれます。
もしかしたら、お客さんによっては嫌と思ってしまうかもしれません。ただ、幸腹満福のお客さんは、ゆ~ず~がいることを承知の上で来ているので、嫌な顔一つせず、とっても上手にゆ~ず~と関わるのです。
大将と奥様も「すいませんねー、森山さん。ゆ~ず~いいかげんにしろ!」と言うのですが、そこには愛情しかなく、また、そんなやりとりを微笑ましく見ているお客さんばかりがそこにいて、私は、平和な世界がここにはあるなぁと心から思いました。
食事も美味しく、お腹はもちろん、心まで満たされ、とっても幸せな気持ちになりました。まさに、幸腹満福。この名前がぴったりのお店でした。
【編集後記】
創業者である父が出版しました『売りたければ「買ってください」は言うな~創業者が息子社長に伝えた27のこと~』が、沖縄ジュンク堂書店さんの(7月7日付け)総合ランキングで第2位に入りました!いつもいつも応援してくださり、本当にどうもありがとうございます!