賢さん通信18号

この状況があったからこそ

こんにちは!株式会社琉球補聴器、代表取締役の森山賢(けん)です。賢さん通信第18号をお送りいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

さて、緊急事態宣言が解除され、希望の光が遠くの方に見えて来ている実感はありますが、第2波、第3波が来るとも言われており、まだまだ油断できない状況が続いております。琉球補聴器では、4月から5月にかけ、感染拡大防止のために、在宅勤務8割ということを実行して参りました。ご高齢のお客様が多いので、絶対に感染させてはならない、また、自分たちも絶対に感染してはならないと考え、緊急事態宣言が東京など7都府県に出されたその翌日、4月8日から実行に移しました。おそらく、沖縄県内の企業の中でも、だいぶ早い方だったと思います。

商売をしたい、商売をして一人でも多くのお客様を助け、喜んでいただきたいという想いは強かったのですが、お客様のことを考えたときに、一番大切なのは命だということになり、まずは在宅勤務を導入する決断をしました。

ただ、私たちの仕事は接客業。在宅でできる仕事は無いに等しく、実質は在宅勤務という名の自宅待機です。ただ、できるかどうか考えている暇などなく、今回に限っては、とにかく全てできる方向でまずは手を打ち、そこから考える。走りながら考える!を超え、一輪車に乗りながら、ジャグリングもしながら考える!のような状況。

とりあえず、在宅勤務8割!あとは、リーダー会議で決める!どういう条件の社員を優先して在宅勤務にするかを決め、また、この期間中も給料は100%出し、さらに昇給もあり、その上、新入社員も入ってきていてと、しかし、在宅で接客はできない、

だったら勉強の時間にしよう!じゃあ、何をどうやって勉強しよう?オンライン会議のZoomも使おう!朝礼もやろう!在宅勤務のルール(在宅勤務中にやって欲しくないこと)を決めよう!と、次から次へと考えては決め、皆で形にしていきました。

そんな中で実は、一大プロジェクトまで誕生。耳に掛けないマスクの製作と販売です。お客様から、とくに耳に掛けるタイプの補聴器をお持ちのお客様から、「マスクの取り外しのときに引っかかってしまう」、「引っかかって落としてしまった」というお声を聞くようになり、「耳に掛けないマスクがあったらいいと思わない?」と皆に投げかけました。

すると、本当に優秀な社員たちです。島袋卓也君がリーダーとなり、プロジェクトが始動。既存のマスクを改良する形で、試作品が何度も作られ、やっと形が決まり、デザインについてもアイデアを出し合って決定。木村まち子さんという70代の社員の方が、女子社員10人くらいの製作部隊を作り、Zoomを使って、作り方を教え、製作も進み、同時に、島袋卓也君が、販売の許可を取るなど手続きを全て進めてくれまして、そして、5月6日、琉球補聴器のWebサイトで販売がスタート!口コミやSNSなどで広がり、すぐに半分くらい売れてしまいました。さらにです。お客様の中で、裁縫が得意な方から「お金はいらないので、私にも作らせてほしい」というお声まで掛かり、私は涙が出そうになるほど感動してしまいました。

今回のコロナで、商売だけを見ると正直、苦境に立たされておりますが、しかし、学ぶことも多く、社員はさらに成長したと思いますし、お客様を含めた多くの方々の人の温かみを感じる機会にも恵まれました。なんとか、全社一丸となってこの苦境を乗り切ります。皆様も引き続き、お体にはご自愛ください。


【編集後記】

「『買ってください』は言うな」書影先日、創業者である父が出版をいたしました。

『売りたければ「買ってください」は言うな~創業者が息子社長に伝えた27のこと~』

という本です。人を大切にする経営学会の坂本光司先生のご推薦もいただいております。こちらの本は、後継者の方にとくにおすすめです。